「カードローン」を利用しても「住宅ローン」の審査に通るために

カードローンを利用しようと思った時に、「住宅ローンの審査が通りにくくなる」という噂を気にして悩んでいる人がいるようです。実際のところはどうなのでしょうか?

結論から言うと、カードローンの利用の仕方によっては審査に不利になりますが、気をつけるべきポイントをきちんと押さえておけば大丈夫。住宅ローンの審査でどんなところがチェックされるかを理解して、安心できるカードローンの利用を心掛けましょう。

住宅ローンの審査は、カードローン利用のここをチェックしている

「カードローンを利用していると住宅ローンの審査に不利」と言われるのには理由があります。そもそも、ローンというのは「借金」ですから、ない方が審査にプラスなのは言うまでもありません。しかし様々なローンの中でも、カードローンは特に注意が必要な商品なのです。

カードローンの利用が厳しくチェックされる理由

例えば自動車ローンのような、大きな金額の買い物をするためのローンは、その購入のために「一時的に」お金が必要で借りた、使い途のはっきりした借り入れです。しかしカードローンの場合、多くは使い途の限定されないフリーローンですから、一時的であったとしても「お金が足りなくなった」と捉えることができます。

そして最大の違いは、カードローンは「繰り返し借りる」ことができること。自動車ローンなどは、借りた時点から毎月返済をしていき確実に残高が減っていくのに対して、カードローンは借入限度額の枠内であれば、返済してもまた借りることができるため、どのような利用をしているか、審査側はとても気にします。

住宅ローンは借入の金額も大きく、返済期間も長期にわたります。それだけに貸す側も、借りる人の返済能力を慎重に見極めようとします。そのために、年齢や勤務先、勤務年数、収入などはもちろん、これまでその人がお金を借りた履歴についても、細かくチェックするのです。

信用情報とは、あなたがお金を借りた履歴情報

そのチェックのために金融機関が利用しているのが「信用情報」です。信用情報とはひとことで言えば、クレジットカードやローンの利用記録のこと。この信用情報は、信用情報機関で記録・管理されています。

現在日本には「JICC(株式会社日本信用情報機構)」、「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」、「全国銀行個人信用情報センター」の3つの信用情報機関があり、国内の金融機関はいずれかの信用情報機関に必ず加盟しています。(最近は2つ以上の信用情報機関に加盟している金融機関が多いようです)

そして金融機関は、利用者の状況を逐一信用情報に登録しています。あなたがローンを利用したら、その契約内容や返済状況、返済残高などはすべて記録されているのです。

借入金額はもちろん、件数や期間も重要ポイント

住宅ローンに限らず、あなたがローンやクレジットカードに申込むと、金融機関はこれらの信用情報機関を通じて申込者の信用情報を確認します。そこで、返済能力に疑問符がつくような履歴が出てくると、審査上「マイナス」の評価がなされてしまうわけです。

住宅ローンの審査における判断基準は、金融機関によって異なります。しかし、信用情報でチェックしているポイント自体は大きく変わりません。

  • 借入件数
  • 借入先
  • 借入期間
  • 各借入先の利用限度額
  • 借入額
  • 毎月の返済額

これらが基本のチェックポイント。例えば借入件数や金額が多いと「生活が苦しい」と見られますし、借入期間が長い(残高の減り方が小さい)と、返済する余裕がないと判断されるでしょう。

そして最終的に見られるのは「返済余力」。借入残高と月々の返済額をチェックし、住宅ローンが加わっても返済可能かどうか、収入とのバランスでチェックされるわけです。

住宅ローンの審査に不利なカードローンの使い方とは

では、そのチェックにおいて「返済能力に疑問符がつく」のはどのような時なのでしょうか?少し詳しく見ていきましょう。

返済していても「延滞」があるとキズがつく

まず、下記のような「信用情報にキズが付いている」状態が挙げられます。。

延滞
クレジットカードやローンの支払いを延滞すると、信用情報に記録されます。そのタイミングは金融期間によって異なりますし、1〜2日の遅れで記録されることはありませんが、2カ月月以上延滞したら記録されると考えておくべきでしょう。
債務整理
破産や任意整理、個人再生、特定調停などの手続きを行った場合は信用情報に記録が残ります。
強制解約
支払いの延滞が長期に渡ると、金融機関から契約が解除されることがあります。この強制解約も当然記録に残ります。
代位弁済
クレジットカードやキャッシングに申込む際、保証人を必要としない代わりに「保証会社」の保証が付けられます。返済が滞った場合、保証会社が利用者に代わって残りを返済します。(保証会社はその返済がくを利用者に請求します)これを代位弁済といいますが、その記録も信用情報に残ります。

これらは「事故情報」と言われ、残念ながら、事故情報の記録があると審査に通る可能性は限りなくゼロと言えます。

事故情報は一定の期間が過ぎれば消えますが、延滞でも最長5年は記録が残ります。言うまでもないことですが、延滞などで事故情報に記録が残るようなことがないよう、間違いなく返済できるような利用をすることが重要です。

カードローンを利用しただけでキズがつくわけではない

カードローンを利用しても、それがイコール、信用情報にキズがつくことになるわけではありません。信用情報にキズがつくとは、前述したように「信用情報に事故情報が記録された状態」のこと。しかし、キャッシングを利用すると、その内容自体は信用情報に記録されますから、借入と返済がどのような状況であるかはわかってしまいます。

ですから次にチェックされるのは、借入件数と金額、そして返済ペース。過去に利用していても完済済みであれば大きなマイナスにはなりませんし、もし残高が残っていても、順調に返済が進んでいれば印象は悪くないでしょう。

例えば冠婚葬祭や予期せぬ突然の出費で、一時的にお金が必要になることは誰でもあります。そういった理由で利用したキャッシングは、計画的に返済できていればOKです。

しかし、繰り返し借りていたり、たくさんの金融会社から借りていたりすると、審査上マイナスになることは間違いありません。

借り入れを始めた時点から期間が経っているのに、返済と借入を繰り返していて残高が減っていなかったりすると、間違いなく「生活がギリギリ」と捉えられます。お金に関して計画性がない、という印象も与えてしまうので、そのようなカードローンの利用をしているとかなりのマイナスとなるでしょう。

住宅ローンの審査に通るためのチェックポイント

これまで述べてきたことからもわかるように、カードローンの利用が住宅ローンにマイナスの影響を与えないためには、計画的な利用としっかりした返済が何より重要です。それを前提として、(つまり借り過ぎや延滞がないとして)更に住宅ローン利用時点でどのような状態であれば大丈夫かを理解しておきましょう。

年収に対する比率を確認しよう

住宅ローンを利用するには様々な条件があります。まず年収に対する基準として、金額の上限は年収の5倍以内で、購入する物件価格の8割以下と言われています。そして返済についても、年収に対する年間返済額の割合が30%以内であること、というのがひとつの目安です。

この様々な比率を計算する時に、申し込む住宅ローンだけでなく、現在抱えている様々なローンを合算することになります。例えば年間返済額を計算する際には、

・申し込み予定の住宅ローンの年間返済額
・自動車ローン、カードローンの年間返済額
・クレジットカードのキャッシング、リボ払いの年間返済額
などをすべて足した金額が年収の30%以内であることが必要になるわけです。

これらは自分で計算することができますから、もし返済額が年収の30%を越えてしまっているようであれば、まずカードローンの返済をしてから住宅ローンの申し込みをするべきでしょう。

返済の終わったカードは解約しておく

カードローンやクレジットカードのキャッシングを完済していたとしても、安心はできません。完済したローンは、必ず「解約」しておくことが重要です。

セブン銀行カードローンを契約しているけど使用していない場合も同様に解約をおすすめします。

最初に述べたように、カードローンやクレジットカードのキャッシングは、繰り返しお金を借りることができるという性格を持っています。ですから審査においては、利用枠を残していることは「将来また借りるため」と捉えられることがあります。

特に、住宅ローンの申し込みの直前に慌てて返済したような場合は、そのように見られる可能性も高いと言えるでしょう。利用しているか否かにかかわらず、カードローンなどの限度額をたくさん持っている状態は審査上マイナス。これを機会に整理して、必要最低限の枚数に絞っておきましょう。

消費者金融やクレジットカードより銀行のカードローン

カードローンの利用を必要最低限に絞るなら、銀行系のカードローンを選ぶ方が良いでしょう。理由は単純で、銀行系より消費者金融系の方が審査が甘く、金利が高いローンだからです。利用しているカードローンが少なくても、それが消費者金融系だと、「金利が高くても借りなければならなかった」と見られ、印象が良くありません。

最近はどこの銀行もカードローン事業を手掛けていますから、カードローンを利用しているだけで「生活に困っている」と結びつける考えは少なくなっています。ですから銀行のカードローンであれば、きちんと計画的に利用していれば大きなマイナスにはならないでしょう。

もう1つのチェックポイントとして、盲点となるのがクレジットカードです。通常クレジットカードには、数十万円のキャッシング枠が付いています。ショッピングなどで利用するため、クレジットカードは整理しない人が多いようですが、実はクレジットカードのキャッシングは、金利の高いローンなのです。

ですから、キャッシング枠のあるクレジットカードをたくさん持っていることは、審査上マイナスです。クレジットカード自体を整理するか、キャッシング枠だけ解約する手続きをしておくと安心です。

審査に通る可能性を高める「フラット35」

銀行系のカードローンの中でも、使い勝手が良いのがネット銀行です。例えばセブン銀行なら、ネットで申し込みができ、セブンイレブンのATMで借入れも返済もできるので、最近利用者も増えています。

そして実は、住宅ローンという面でも、ネット銀行でフラット35を利用すると有利と言われています。

将来住宅ローンの利用を考えている人のために、最後に「ネット銀行のフラット35」について触れておきましょう。

フラット35は安心な住宅ローン

住宅ローンを借りる場合、民間の住宅ローンともう1つ、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して取り扱っている「フラット35」というローンがあります。その最大の特徴は、返済終了まで金利が変動しないこと。低金利時代の現在の金利が将来まで保持されるわけですから、変動金利に比べて有利と考えられるでしょう。

また、物件価格の最高90%まで借りられることや、民間の住宅ローンと比べて審査が緩いと言われていることもメリットと言えるます。

そのフラット35は、提携している銀行ならどこからでも申し込みができます。その中から選ぶ際、ポイントとなるのが「金利」と「融資事務手数料」。この2点で優れているのが、セブン銀行などのネット銀行です。

ネット銀行は金利が低く、事務手数料も安い

まずは金利ですが、フラット35を扱っている金融機関の中でも、金利差は最大で1%ほどあります。ネット銀行はこの中でも低い金利になっています。

また融資事務手数料も、ネット銀行の方が安く設定されている傾向にあります。「融資事務手数料」とは、融資を受ける金融機関に支払う事務手続き手数料ですが、ネット銀行は店舗を持たないことで様々な手数料を低く設定しているタイプの銀行。この点でも、ネット銀行でフラット35を利用するのが有利と言われています。

近年は様々な金融機関が登場し、カードローンなどの商品も多彩に登場しています。しかしこれまで述べてきたことからもわかるように、あまり手を広げて、様々なローンを利用するとリスクも増えます。

利便性や将来のことを考えても、セブン銀行のようなネット銀行を利用して、口座の開設、カードローンの利用、住宅ローンの申し込みなどをまとめていくのも得策かもしれません。

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